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まんが道 [麻雀小説サークル]

ずっと左手で生きてきた。  


大人になって恥をかかないように、


と、お箸と鉛筆は母親によって


右手に矯正してもらったけれど。


ビリヤード、ボウリング。 


そして麻雀。


ずっと、左手で打ってきた。


上家のひとに


「おう、にいちゃん!


捨て牌みえにくいぞ、こらあ!」


と叱られないように


できるだけ見やすいように


牌をきる練習も重ねた。


30年ずっと左手で打ってきた。


この先も多分そのつもりでいたんすけど。


先日何をどうしたのか


左手をぶつけ、指がなんか


いうことをきかず


ままならなくなった。


1,2週間で治るやろ。


と思っていたのに、


そんなに甘くはなかった。


医者は言う。


「骨にイジョーはない。


様子をミマショー」


モーレツに困った。


左手がままならないと


麻雀が満足に打てないのだ。


脳と卓の画面が繋がらないイメージ。


痛み止めを飲んでいても


牌を掴む指に強烈な痛みが走る。


右手では打てない。


右手で打つとなんかチョーシが狂う。


「牌が手につかない」のだ。


困り果てて、とある


物語を思い出す。


果てしない昔。



高校生の頃、行きつけの本屋で


電話帳のような本を見つける。


「まんが道」の愛蔵版。


お年玉をはらって購入。


夢中でオヤツも食べずに読みふける。


溶けるような情熱。


まんがにかけるモノホンの気持ち。


その情熱の物語のなかで


少し不思議なマンガが得意な


才野 茂 氏


が利き手をケガして、


こりゃたいへんだ、と思案。


右手が駄目なら、と


左手で漫画がかけるように


必死で頑張る場面がある。


一日中必死で描き続ける才野。



そうだ、左手がだめでも


右手があるやん。


左手がままならなくなってから3週間。


右手でずっと牌を切る練習をしている。


ポケットに麻雀牌を4枚いれて


ずっと、牌を切る練習を。


月火木金の帰宅後は


Mリーグを観戦しながら


右手でツモ和了のレンシュー。


狭くて、扱いにくくて、


ストレス半端ない右手の世界。


けれど、慣れてくると


だんだん不便ではなくなる。


ついには、右手でスマホの操作まで


できるようになった。


なので、ひさしぶりに


ブログとか掲載したりしてます。


ニンゲンのカラダってすごいなあ。


割と代替が利くもんですわ。


みなさんも、仲間うちセットなど


許される機会があれば


利き手ではない手で麻雀打ってみてください。


その異次元っぷりに驚くのでは、


と思います。ええ。









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赤あり麻雀最強の役 [麻雀小説サークル]

自分の甘さが全てだ。


勝負に負けると、草も生えない。


そこには絶望しかない。


勝てばよい。


簡単なことだ。


自分の点棒を減らさずに、オーラスを抜けるだけのゲーム。


手役にうっとりしたり、


相手の心象なんて気にしても1円にもならない。


相手の嫌がることをすればいいだけだ。


麻雀はいつも自分が和了できるとは限らない。


自分が和了できれば、他家は和了できない。


このために、将来相手が必要になる牌は


序盤に叩き切る。


特に字牌のドラなんて重ならなければ


何の価値もない。


重なっても面倒くさいから、叩き切る。


場にたくさんでている牌も


できるだけ先に切り出す。


ドラ表示牌など、キーになる牌も


ぼっこぼっこに切り出す。


他家に麻雀を楽しませない。


そして、手牌をスリムに構えて


全ての赤を吸収できる「赤あり麻雀最強の役」


タンヤオにむかう。


タンヤオに向かう上で、将来溢れるであろう牌は


とにかく先に切る。


赤回りと、赤の受けをスリムに。


仕掛けるけれど、振り込まない麻雀


これを、とにかく目指す。


リーチは基本考えず、常に仕掛けることを念頭に置く。


リーチを打たないのだから


振り込むことはない。


和了やすさと、振り込まないこと、


この2つのために、


親の河、親の捨て牌を意識する。


親の河に浮かぶ牌を軸に組むことで、


親には振り込まず、


また、親リーチに対して

受けようとしている他家から


和了を拾うことができる。


それからの麻雀は


常に手牌は7枚くらいになる。


けれど、最強の7枚だ。


わたしが仕掛けると、同卓者は


舌打ちをする。


意地汚いと罵られる。


けれど、負けるよりよい。


他家が赤を使って和了する未来の12000点を


1000点で捌いたなら


13000点の和了と同じ価値が有る。


麻雀は、そんな簡単なものではないと


知る由もない当時の私は、


勝てばよい、美しさのかけらもない


麻雀に沈んでゆく。






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振り込まない為には。 [麻雀小説サークル]


カウンターのそばの


待合スペースで漫画を開き


メンツが4人揃い卓がたつことを待つ。


メンバーが2人常駐しているので


あとひとり、誰かくれば良い。


今日の麻雀の目的は、他人の「赤の使い方」を


勉強することだ。


2着3着の結果を重ねて、


他人の和了と赤の所在を観察する。


総括すると、やはりみな


「赤牌が手の内にある時は、無理に押してくる。」


赤牌のある手牌は、体感だけれど


赤なしの手牌の1.5倍位の価値がある。


みな、和了したいのだ。


赤があるときには攻め。


赤がないときには守り。


ということは、赤が手牌にない時には


我慢をしたほうがよい?


でも、我慢して受けていると


ツモられて結局どうにもならなくなる。


無理に押せば、刺さってとんでしまう。


その日の結果は、2着と3着でトントン。


大きな振込はなく、傍観者の立ち位置。


同卓者が和了に向かっている様子を


振り込まずに、見つめている。


他家の放銃は自分の失点にはならない。


けれど、ツモられた時には失点になる。


煮え切らないつまらない麻雀を打っていて


わたしは、すごく当たり前のことに気がついた。


振込みたくない、失点が嫌だ。


でも、和了ができない、であれば。


なんで、こんな簡単なこと気が付かなかったのだろう。


赤の扱い、云々ではない。


もっとシンプルなことだった。


そうか、そうだな、うんうん。


振込みたくないなら、振り込ませればよい。


ツモられたくないなら、聴牌を取らせなければよい。


高い手役を組まれそうなら、それも組ませなければ良い。


それは、競い合う麻雀の本当の楽しさの対極にある愚行。


けれど、お金が欲しいわたしは、迷いはなかった。



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赤有り麻雀の戦い方 [麻雀小説サークル]

このお話はフィクションです。


全ては 夢の中の出来事のようだ。


賑やかなパチンコ店内ではあったのだけれど


その喧騒が逆に私を落ち着かせた。


1万でも勝てれば良い、


そんな風に最初は思っていたけれど


クルクルと回るリールを眺めながらも


やはりどこまでいっても


考えていることは、麻雀のことばかり。


考えたくもないはずなのに。


青年の麻雀について、考え続けていた。


青年が親リーチにゼンツ。


運良く青年が赤5ソウをツモる。


単なる前にしか進めない戦車みたいな麻雀だ、と思った。


赤ドラ単騎で曲げるなんて、厚かましいにもほどがある、と。


けれど、別の考え方をするのであれば、


赤ドラ単騎にすれば、赤ドラを振り込まずに


和了すれば高得点とご祝儀がもらえる。


そして自分のリーチも振り返る。


三四五(赤)③③③⑤4445678


ドラは南。


北家になったわたしは⑤を切ってリーチを打つ。


待ちの多さでの⑤切りだ。


その2巡あと、青年が⑧を横に曲げて


追いかけの親リーチ。


わたしのツモ牌は⑤。


真っ赤に染まった⑤。


親番である青年に一発で放銃。


一二三②②②④⑥678南南


リーチ一発ドラ3


ウラドラ・・・


ウラドラの表示牌には①ピンが。


リーチ一発ドラ3ウラ3.


飛びと、チップ5枚。


三四五(赤)③③③⑤4445678


これも、赤のフォローを考えれば


8ソウ切りのほうがよかったのか?


いや、そんなばかな。



東3局の青年のリーチも気味が悪い。


2ソウと8ソウが河に飛んでいる。


そこに7ソウ切りのリーチだった。


一二三②③④⑦⑧⑨4446


スジの3枚目のカン5そうで振り込んでしまい


ウラドラの表示牌に4枚目の4ソウがいて


18000の飛びとチップ4枚。


上手に打とうとして、大失策だ。


・・・・・


思い返せば、赤牌でおかしなことになっている。


赤牌で、取り返しのつかないことになっている。


わたしは、いつも、赤やドラは「おまけ」だ


おもって打っている。


赤牌には期待をしない。


なんとなく、赤に意識を奪われることは


麻雀の本当の努力ではない気がして。


格好悪い気がして。


「卓上に落ちるおおきな偶然。」


赤で振り込めば運が悪いだけ。


・・・・・


でも、現在打っているのは


「赤がお金になる」そういう麻雀だ。


自分が心の底で憧れている


「偶然の少ない美しい麻雀」ではない。


血のような真っ赤な赤牌で


他人の財布からお金を奪う。


お金を奪い合う戦いなのだ。


事実、敗北のなか、


現在の自分は「クルマを売るはめ」になってしまった。


そこが間違っていたのか。


自分は甘かったのだ。


上手に器用に結果だけを欲しがっている。


ボクシングでいえば、足を使って


器用にジャブだけで勝とうとしている。


いや、負けないようにしている。


命を賭けた戦いに安全な場所などないし、


器用に、うまぶって「魂ののっていないパンチ」を


いくら打ったところで意味はない。



「赤を使って相手の息の根を止める・・・」


そうだ、重い渾身のストレートが必要だ。


そして、その為には、赤牌を味方にする必要がある。


赤牌を味方にするためには


同卓者が赤牌をどのように扱っているか


そのことをよく理解する必要がある。


金ならある。


どうせ一度は失くなってしまった金だ。


運に任せてパチスロ代に飲ませるくらいなら


もういちどだけ、あの戦場に。


夕暮れどき。


私は、現金を握り締めて


雀荘の前に立っていた。


手牌に赤牌と場の状況の重なりを感じたなら


渾身の力で振り抜く。


強い形。


強い牌。


強い場の状況。


勝負ところに全てを賭ける。





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東2局の悪夢 [麻雀小説サークル]

このお話はフィクションです。


ほんとうのきもちはないしょあるよ。にんにん。


親リーチにゼンツ。


運良く赤5ソウをツモることができただけ。


単なる前にしか進めない戦車みたいな麻雀だ。


わたしはこの地点でもう、この青年を舐めきっていた。


三四五(赤)③③③⑤4445678


ドラは南。


北家になったわたしは⑤を切ってリーチを打つ。


待ちの多さでの⑤切りだ。


その2巡あと、青年が⑧を横に曲げて


追いかけの親リーチ。


わたしのツモ牌は⑤。


真っ赤に染まった⑤。


あ、でも、③4枚見えているから


これは大丈夫だよな。


瞬間で4枚の③ピンを数え切るとロン。


親番である青年に一発で放銃。


一二三②②②④⑥678南南


リーチ一発ドラ3


ウラドラ・・・


ウラドラの表示牌には


悪夢のようなまんまるな①ピンが。


リーチ一発ドラ3ウラ3.


飛びと、チップ5枚。


開局わずか10分で、わたしはふっとんでしまった。


青年は盆づらがいい。


勝っていても、余計なことは言わず


飄々としている。


なぜだ。


なんてついていないんだ。


嫌ちょっと待てよ。


落ち着け。


この青年は上手ではない。


たまたま運が悪かっただけだ。


そのたまたま運が悪い一回が


最初に巡ってきただけだ。


今日は、いつもより長く打てばいいだけだ。


そう思って挑んだ次の半荘も、


東3局で、青年のリーチに振込み、飛んでしまう。



2ソウと8ソウが河に飛んでいる。


そこに7ソウ切りのリーチだった。


一二三②③④⑦⑧⑨4446


スジの3枚目のカン5そうで振り込んでしまい


ウラドラの表示牌に4枚目の4ソウがいて


18000の飛びとチップ4枚。


そのあとのことは覚えていない。


もう、ぼろぼろだった。


一度も連帯することなく


気持ちを正しく麻雀に向ける余裕のある


持ち金も尽きて、


わたしは、ラス半コールをいれた。


18000を何回振り込んだのだろう。


わたしの渾身の先制リーチは、


ことごとく青年の追いかけリーチの餌食になる。


身を切られるように、大切なお金が奪われる。


なぜだ。


わたしは、遊びじゃない麻雀を打っているのに


我慢してるのに、どうして負けなきゃならないんだ。


金策の術もない。


残りのチカラをふりしぼって青年に声をかける。


「また、打とうな」


弾けるような青年の笑顔の向こうに


丁寧にお辞儀をする青年の彼女の姿。


「はい。また、明日も来るのでお願いします。」


冗談じゃない。


二度と同卓したくない。


喰われるだけだ。


わたしは絶望のなか、帰路につき


溶けるように眠りについた。


夢なら覚めてくれ。




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東1局全ツッパの法則 [麻雀小説サークル]

このお話はフィクションです。


ほんとうのきもちはないしょだよ。





青年は、「よろしくお願いします!」


と、挨拶をする。


私は、自分の経済的に危機一髪な様子など


すっかり忘れてしまって


「ひさしぶりやな、今何しよん?」


と、近況を尋ねる。


青年は、パチプロをやっているらしい。


うまくいっているらしく羽振りはよさそうだ。


大学を出てそのあと、どんな世界を生きてきたのか


サラリーマンにはない、不敵な雰囲気を身にまとっている。


どのような時間を重ねて現在に


至ったのか、それはわからないけれど、


自分で選択肢したのだろう、ということはわかる。


パチプロで、こんな時間から


麻雀を打っている様子からすると


まあ、マトモとは言い難い。


アウトローな状況なのだろう。


10万買った。


今月は、70万買っている、


などの会話が飛び交っている。


現在のわたしには、パチンコを打つ


金銭的な余裕などない。


種銭がない、のだ。


現在できることは、


卓の上に落ちているお金を拾うこと。


気持ちを抑えて丁寧に打てば、


トータルで時給1,900円前後に収まることを


自分のフリー雀荘データが証明している。


店のカウンター脇。隅の卓は、花台。


エースの常連が卓を囲む。


常連卓であるその卓は、強い人間が集う。


その日最初の半荘は、その青年との


同卓から始まった。



手牌を見つめ、自分の麻雀の目的を括り付ける。


「今日は、10,000円は持って帰らないと。」


それがノルマ。


調子が悪い、と感じたなら、すぐに卓を洗う。


そう、それがこの古い友人ともいえる


青年が相手であっても。


青年の背後に、青年の彼女が腰かける。
ふわふわしたイメージが青年の雰囲気によく合う。
ペコリと挨拶をして、優しい笑顔を浮かべ
青年の手牌に視線を移す。
彼女も麻雀を打つのだな、と思った。


サイコロを振り、親番を引き当てた。


中盤にドラを絡めた


58ソウ待ちのリーチドラ1


の手が入り、即リーチ。


開局1発目のテンパイは押す!


これがわたしの当時のスタイル。


親番で両面テンパイなど、


青年が無スジの4ソウを切り


ノータイムで追いかけリーチ。


赤5ソウ単騎をツモ和了して


2000,4000、の2枚。


なるほど、ゼンツの遊び麻雀だな、と思った。


が、あまりにも迷いのない


4ソウ切りに、ちょっと違和感を覚えた。


5ソウを切って、他のターツを伸ばせば


少なくとも、亜両面の待ちにはなる。


けれど、敢えて5ソウ単騎。


私のリーチは河も強く、4ソウも5ソウも


危険度は変わらないように思う。


これは、「東1局全ツッパの法則」かもしれない、


と、わたしは、過去の青年との時間を思い出す。


これは、高校生である青年と過ごした雀荘「さーくる」での会話。


歯の抜けた、見るからにチンピラで、


多分本当にチンピラだろう、と思われるおっさん。


紙でできた不思議な造形の日本酒をチューチューやりながら、


若者の麻雀を後ろ見して、野次を飛ばす。


「おうおう!ええ若いもんが、東1局からオリてどうするんや?


麻雀はな!気合よ、気合!。


男らしゅう戦った奴のところに勝利の女神は微笑むんじゃ。


流れを大事にせえ!流れを!」


このチンピラのおっさんの言うことは


当時「そのとおり!」だとみな思っていた。


東1局は押したほうが得だ。


残りの半荘でいくらでも調整が利くのだから。


また、麻雀はある程度、和了にむかわないと


ツキに見放されてしまう。


「東1局は全ツッパ!」


青年は、この言葉をこれまで


守ってきたのではないか?


我慢のない麻雀。


振込むことの怖さを知らない「遊びの麻雀」。


そんな麻雀に、我慢に我慢を重ねて、そう


あらゆる「麻雀でやってみたいこと」を我慢している


自分が、何故、負けなければならないのか?


カモだな。


青年に対してそう思った。


今日のノルマの10,000円は


授業料として青年から貰うこととしよう。


品性の欠片もなく、私はそう思った。


その次局、私は、そう思った自分を


ぽかぽかと殴りたくなるような目に合う。







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残滓 [麻雀小説サークル]

このお話はフィクションです。



新しくできたその雀荘。


金融業や、パチプロがその客層のほとんどだ。


ただ、店の雰囲気があまりにも良すぎることと


店員さんの接客がパーフェクツなため


とても賑わっていた。


あの青年との出来ごとから、8年。


その頃の私は、どん底にいた。


いつもお金がなかった。


何もかもうまくいっていなくて、


麻雀で小銭を稼いで、生活を繋いでいた。


そのことがたまらなく恥ずかしくって


古い友人には、合わせる顔もなかった。


どん底の惨めな気持ちの日々。


数限りない思い通りにならない出来事。


その中で、麻雀だけが、唯一


努力や我慢を裏切らない存在だった。


遊び半分に楽しんで麻雀を打っている人間は


そのかわりお金を置いてゆく。


我慢をして苦しい麻雀を打っているわたしは


そのお金をひろってゆく。


楽しい麻雀なんて、もう忘れてしまった。


お金が必要だ。


たまらなく惨めだった。


麻雀の理屈だけが、私を支えていた。


お金に執着する必要のない、


大きなお金の感覚の中に身を置いている


パチプロや金融業のみなさんは、


「勝ちに行く麻雀」ではなく


「楽しむ麻雀」を好む。


なので、勝つことだけを考えている自分にしては


本当に凌ぎやすい雀荘だった。


一円でもお金を持って帰る。


トップよりチップ。


赤ありの手役の取りこぼしは


お金を捨てるようなものだ。


赤ドラはお金だ。


調子が悪い時は、打たない。


調子のよい人とは、同卓しない。


他家をいかせて、振り込ませる。


ラスを他人に押しつける。


目立たないように、ありとあらゆる姑息な手を駆使して


毎月、ほぼ毎日通って7万円くらいをあげていた。


その7万円程度のお金が、その時は本当に必要だったのだ。


月末は、本当に苦しくて、20日を過ぎると眠れなくなる。


ゲーム代金があまりにも安いこと、


客層が甘いこと、


店の雰囲気があたたかいこと。


楽園。


その楽園に守銭奴が混じっている。


そんな感覚。


いつも、お金のことを気にせずに麻雀を打ちたい。


そう心のなかで思っていた。


パチプロたちや、金融業のひとが


来店する午後23時のゴールデンタイム。


いつものように、燃費の悪いロータリーエンジンの車に


身体を埋めてガソリンをあまり使わないように、


注意をしながらその雀荘に向かう。


もう一台の外車は、車検が切れて駐車場に眠っている。


お金がないから、処分ができないのだ。


いつものようにドアを開けると


その店内に懐かしい笑顔が見える。


間違いないあの時の青年だ。


きれいな愛想のよい彼女を背中に


なんだか、妙に慣れた手つきで


麻雀牌を小気味よく河に並べている。


あの頃の麻雀への情熱。


麻雀を打つこと、が好きだった自分。


こころのなかにある、その残滓。


いつものように、お金のためではなく


ただ、その青年と麻雀が打ちたい、と思った。


「おひさしぶりです!」


青年は変わらない笑顔を私に向けると


彼女に、わたしにはお世話になった、などと


紹介をしてくれた。


懐かしいあたたかい気持ちがこみ上げてくる。



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トイレ代走 [麻雀小説サークル]



少し秋めいてきた季節。


市内で、唯一の低レートの麻雀。


エレベーターのない建物の3階。


点0・3 の300円600円


ゲーム代金 250円


大きいお札で、一晩遊べる。


学生だった私は、帰省時はそこに入り浸っていた。


朝10時にパチンコ屋に並んで


パチスロのモーニングサービスをとり


(昔パチスロには、モーニングサービスというものがあり


朝一、1ゲームでビックボーナスをそろえることができる台


そんな夢のようなサービスを店側が、用意してくれていた。


7枚交換なので、5000円くらいの勝ちにしかならないが)


5000円をもって、その低いレートの雀荘へ。


夕刻6時になると、階段を駆け上がる音が遠くに聞こえて


元気よくその店のドアが開く。


「おつかれさまっす!」


学生カバンをさげて


制服のまま、その青年が入ってくる。


青年は、お店の売りである100円の棒ラーメンを


注文して、カウンターのわきに陣取る。


それから、3時間は、観戦している。


理由は簡単。


お金がないのだ。


高校生だから。


市で一番の進学校に通う青年。


青年が麻雀を打つことができるのは、


気心の知れた常連の「トイレ代走」のみ。


「おう、トイレや。代走してや!」


その言葉を待ちわびて、


トイレの間、その1局を打つ。


麻雀が好きで好きで仕方のない様子が


もう全身から溢れ出ている。


青年は、毎日、放課後現れる。


必ず、現れる。


階段を駆け上がってくる音が今日も聞こえる。


目をキラキラさせて、常連の麻雀をみつめている。


人当たりの良い素直な性格で、


皆から愛されていた。



と、ある日。


私は、その店にしては高レート?な


1000点50円の麻雀で遊んでいた。


そして本当に調子がよかった。


3回くらい続けてトップを取っていて


4回目の半荘。


東3局で、8000点を振込み


流れがなくなったな、と感じたところに


注文していた「カッツ丼」が来た。


カッツ丼は、麻雀打ちのための食べ物。


名前も、片手で持てるその仕様もサイコーだ。


だから、食べながら打っても構わなかったのだけれど、


私は、どうせこの半荘は、「捨て」だと思い


若者にいい恰好をしたい、そんな下卑た気持ちも手伝って


青年にどや声で代走を頼んだ。


「めし、食うわ!代走してや!」


飛んでくる青年。


私は、青年によたりながら


「どうせ、ツキがなくなってきとうけ、


この半荘は、あと好きに打っていいばい。


もし、トップ取れたら、その浮きは


小遣いにしていいけな。」


と、小物感全開で、大物ぶる偉ぶる。


青年は


「本当ですか!」


と満面の笑み。


その局で18000を打ち込んで、とんだ。


「すいません。」


しょんぼりする青年。


わたしは、まだ、カッツ丼を食べ終わってなかったので


「悔しいやろう?もう一局、打っていいばい。」


と、よい先輩ぶる。


「あ、ありがとうございます!がんばります!」


次の半荘の東場で、彼の点棒はゼロになった。


手牌が育つことが嬉しくて嬉しくて


オリルなんてこと、夢にも考えていない。


常連の麻雀を観戦するにしても


きっと、手牌が育つ様子を楽しんで観戦しているのだろう、と思った。


「すいませんでした。


ありがとうございます!楽しかったです!」


青年は、そうわたしに告げると


優しい笑顔を向けた。


それから、受験まで、青年は毎日その店に現れた。


そして、現役で国立大学に合格をした。



青年は無事大学生になり、


私がその地方の大学に遊びにいった際には


新しい麻雀仲間とともに、迎えてくれた。


点30円、手積み、朝までコース。


麻雀が好きでしかないオーラは変わらずだったけれど


あまり、強くはなかった。


というか、この青年が強くなる、とは


正直思えなかった。


それから、8年。


新しく足を運んだ雀荘で、ふたたび青年と


ばったり遭遇することになる。












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ノーテンリーチ(コンビ打ち。) [麻雀小説サークル]

3回目の半荘が、始まる。

相も変わらずSくんは、絶好調。

4000オール、6000オールと立て続けに和了する。

なんとか、、私が3900点でAに親番を回す。

ここで、展開が好転しなければ、敗戦濃厚だ。

だが、ずっとノー和了だったAに流れはない。

また、最初の2人の取り決めでは、Aが振込役となっている。

私がしなければならないことは、次局、自分の親番でテンパイを入れまくり

Aに差し込ませAをトバして、Sくんのトップをとらせないこと。これである。

だがもう「Sくんのワンサイドゲーム」となりかけているこの最悪な状況。

和了番はもうAでも構わないのだ。
imagesCA3RJB1M.jpg

そして、東2局。4巡目に、Aの牌が横に曲がる。

三麻は、テンパイ速度が早い。だが。

この大切な局面で、都合良くAに手が入るほど甘くはない。

Aはそういうよい麻雀は今回打っていない。

私は、そっとAの左手のローズを確認する。

ローズのサインが出ていない。

リーチ宣言牌も、特に変化はない。待ちのスジを示唆しているようには見えない。

これは、どういうことだ。

このまま、Aが和了してくれることが一番望ましいのだが・・・。

これは、もしかしてAの渾身のノーテンリーチなのではないか?

どうすればよい?

私の手牌は、メンホンのリャンシャンテン。

和了する為には、かなり痛い牌を切り出さなければならない。

どうすることが正解なのだろうか?

022f33a4.jpg




8月18日(土)に、ゲストプロとして

「村田 光陽 様」を招いての対局。勉強会を開催。

2時間、勉強会、3時間を対局。

ツアー選手内田慶塾長も参戦。



14:00から、19:00。参加費用2000円。

会場は本厚木よつば会です。

問い合わせは、下記アドレスに記載のメールアドレスまで。



http://tsumatetsu-777.blog.so-net.ne.jp/2011-10-05
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


てつつまのほうろうまーじゃんき↓(つかさ会案内あり)

http://tsumatetsu-777.blog.so-net.ne.jp/
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くりっく願います↓


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AKB→http://wing6877.blog.so-net.ne.jp/


油断(コンビ打ち。) [麻雀小説サークル]

その寂びれたビルの入口にSくんはただずんでいた。

インテリチックなメガネの向こうに幼さの残る笑顔が切ない。

これから、地獄をみてもらうこととなる。

そう、博打の地獄を。

薄暗い階段を登り、そのビルの2階。

汚いカーテンのかかったドアを押し開けると喧騒がこぼれる。

平日の深夜だというのに、ほぼ満卓。

Aが事前の電話連絡で押さえてくれていた台に腰掛け、

レートを決める。

「200円くらいで、いいか?」

Aがぶっきらぼうに口にすると、Sくんは

「いや、最初なんで100円でお願いします。」

と、はっきりとした口調で返した。

めんどくさいな、Sくんの心を折るまでに時間が倍かかる。

Aも私もそう思ったが、こちらから、レートを釣り上げるわけにもいかない。

少し逡巡したが、

「うん、いいよ、100円で」

私は、そう言いながら、場決めの牌を引く。

ちなみに、私は100円の三麻すら恐ろしくて打たない。

三麻には魔物が憑依している。

いつも、不条理なことばかり起こる。

自分が不ヅキの時の救いようのなさは、筆舌にさえ尽くしがたい。

まさに地獄である。その地獄の業火に焼かれながらカネをむしられるツラさ。

過去、三麻で不ヅキの状態から持ち直したことなど、ない。

東を引き、起家スタート。

三麻は、流れをもっていかれると、どんな手練でも素人に勝てなくなる。

私は、慎重に牌を組む。

だが、

東2局。北を二枚抜いて

一一一③④⑤⑥⑥⑥⑦東東東

のリーチ。

これが、Sくんの場に3枚切れのカン8ソウに負ける。

「やばい・・・」

最初の半荘で、トップを取られると、そのまま押し切られる可能性もある。

絶好のリーチを捌かれた私をアガリ役とするよりも、

まず、Sくんをアガらせないようにすることのほうが大切だ。

だが、最初からぶっちぎりで勝つつもりでいたので、相手に押される展開への対策は皆無だった。

非常に残念だが、最初の半荘はSくんのトップに終わる。

私の状態は最悪。

Aが、差し込もうにも、私がテンパってなければどうにもならない。

たのむ、A。

とりあえず、Aが和了してくれ。

そう心で、念じる。

油断していたわけではない。

だが、この展開すら想定していなくて、コンビ打ちだなんて、チャンチャラおかしい。

そのまま、2回目の半荘もSくんがトップ。

もう、20000くらい、負けている。

やばい。どうする?

Aが、この展開のやばさに気づかないはずはない。

私が間に合っていないことに、気づかないはずはない。

必ず、和了にむかってくれるはずだ。

私は、少しイライラした面持ちで、3回目の半荘のスタートの賽を振った。



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8月18日(土)に、ゲストプロとして

「村田 光陽 様」を招いての対局。勉強会を開催。

2時間、勉強会、3時間を対局。

ツアー選手内田慶塾長も参戦。



14:00から、19:00。参加費用2000円。

会場は本厚木よつば会です。

問い合わせは、下記アドレスに記載のメールアドレスまで。



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