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両面そんなには、和了できないんじゃね? [麻雀回顧録]

 昔の事すぎて、記憶が前後している可能性はある。

ブー麻雀のお店に、学生がいる。

われわれは、その場所に自分たちがふさわしくない

ということをちゃんと自覚できていた。

ブー麻雀のレートはそんなに高くはないはずなのだけれど、

やはり店員のSさんからは、絶対にブーを打つな、

ときつく注意されていたこともあって

私たちは、変わらず店の隅の卓を根城にしていた。

そういう我々にとって、店員Sさんは

まさに麻雀の神様みたいなもので、

その教えには、みな大きくうなずくばかりである。

;;;;;;;;;;;;;

その日もまた朝までコースだった。

私は麻雀を打ちながらひたすら考えていた。

シャボより、両面のほうが和了しやすい。

そのことはちゃんと理屈でもわかっている。

だって枚数が違うんだもの。

けれど、それなら常に「両面が勝つ麻雀」となっていなければ

理屈として、なんだか変だ。

私が釈然としなかったのは、そのことだ。

両面がカンチャンや地獄待ちに負ける、なんてこと

しょっちゅう起こりうる。

むしろ、両面が強い、とは、到底思えない。

そういう理不尽さ、がきっと麻雀だ。

肝心なことは、待ち牌がたくさんあること、ではなく

牌山に先にいること。

ここまでは理解でき整理できた。

だから、少しでもたくさんの牌がたくさん寝ていてくれるように

たくさん待つことのできる両面待ちがエライのだよー、とそれは解る。

けれど、それが絶対でない、ということも知っている。

麻雀の和了牌は1枚あればいい。

であれば、1枚をどのように捕まえることができるか、

それを考えることのほうが、遥かに

戦術的に優れているような気がした。

そう、思い、そのまま、朝まで麻雀を打ち、

一度帰宅シャワーを浴び、そのままパチンコ店へ。

モーニングを取りに行く友人の車のなかで

「麻雀っちさ、いつも両面待ちが勝つわけじゃないやん?

それなのに、両面待ちエライっち、なんかおかしくねえか?」

そう、呟く。

運転席の理系大学生ではある友人は、

「おまえは、ばかやのう。麻雀は確率のゲームぞ。

かんちゃんが、両面に勝ったときの印象が強いだけじゃ。」

そう、言い放つと

そのままパチンコ屋の駐車場に車を滑り込ませた。

10時開店。1回しで7の図柄を揃えて、換金。

5300円ほどの約束された収入。

パチスロがあるかぎり、毎日このお金は入る。

麻雀、勝っても負けても、どうせ仲間に金がワタるだけだ。

レートも、よく負けても、いいところ20000円くらいだ。

負けてもいい。

試してみたいことがあった。

当時は、麻雀の戦術書なんて存在していなかった。

私は、友人に、

「今日は何時から打つんや?

おれ、麻雀打ちたい。少し寝て、また、すぐ打とうや。」

と声をかける。

携帯電話などまだない時代。

私は、自分の仮説を試してみたかった。

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雀荘にて [麻雀回顧録]

::::::::::::::::::::

私が学生の頃に通っていた地元のお店は

ブー麻雀のお店。

その奥に、貸卓があり、我々はそこを根城にしていた。

一時間200円。

ドリンク付き。

本来しなければならない勉強はそっちのけで

麻雀にただひたすら没頭している日々。

朝、パチスロでモーニングをとって、

お昼にはもう雀荘にいた。

大好きな仲間たちと、大好きな麻雀。

お金の心配もない。

寝る間を惜しんで、好きなことを好きなだけマンキツする。

未来はそのツモろうとしている牌のように

本当にキラキラしていた。

そこには、自分の望むモノしかない、そう思って

まったく、一ミリも疑っていなかった。

恐れるものなどなかった。

正確には、世界が狭量すぎて

「恐ろしいものを知らなかった」だけだ。

知らない、ということは、本当に恐ろしいことだ、と思う。

けれど、私はそんな時期に麻雀に出会った。

住み込みでメンバーをしているそのお店のSさんは、

我々を本当にかわいがってくれた。

毎日、パチスロで6000円近いマネーを必ず得ることができていたこと、

また景気がよい時代だったこともあり我々はみんなお金を持っていた。

ただ、貯めたりしないでひたすら浪費していた。

麻雀、酒、ゲーム、遠征。好き放題。

鉄火場の雰囲気の漂うブー麻雀のスペースの脇を

小走りに走り抜け、店の奥のセット卓のスペースへ。

お昼を注文して、一回目の半荘が終わるころ、

Sさんが、店の2階から降りてくる。

「おはよう。」

そう言ってにこりと笑うSさん。

そのSさんが、本当にごくまれにだけれど

麻雀を教えてくれることがあった。

他のメンバーが卓入りして、我々のセット卓スペースには

Sさんしかいない、そういう状況。

全体の形は覚えていないのだけれど

発があって、タンヤオじゃなくて、赤③もあったから

・・・多分

四五七八九③③(赤)45678発発

こんな感じ。

ここから四五を外したなら、もったいない、と教えられた。

③も発も、あと4枚。

でも、三六、なら8枚ある。

そういう解りやすい説明。

みな、納得していた。

けれど、わたしだけは、何か釈然としないものを感じていた。

25年も昔のハナシである。

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てんぷら定食を食べながら [麻雀回顧録]

おっさんは、薄汚れたジャケットのポケットに手を突っ込み

よたよたと歓楽街を歩く。

風にたなびくその生地の様子から、麻のジャケットだとわかる。

「確かに、本当はお金持ちなのかな?」

ふとそう思ってしまった。

歓楽街のアーケードのなかに、「てんぷら」の旗が立っている。

その旗のふもとから、地下へ続く階段が見える。

「ここのてんぷら、うめえぞ?食ったことあるか?」

おっさんは、そう嬉しそうに話しながら、

代金先払いな様子のその店のカウンターで

「てんぷら定食を2つ!」

と、注文して、さらに満面の笑顔で、

「いいから、いいから!」

と、私の分のてんぷら定食の代金も払う。

ポケットから、小銭をかき出し

手のひらのうえで、「ひい、ふう、みい」とやってる。

なんだか、微笑ましくて

私はもう、このおっさんのことが大好きになっていた。

てんぷら定食をかきこみながら、

おっさんが、いきなり麻雀のハナシをはじめた。

「ほら、あの、テンパイ。

マンズとソーズで、ソーズを和了し損なったやつ?

あれ、なんで、ソーズ待ちにしたら和了しやすい、っち思うんや?」

私が、三三四五六七八①①①7778

七ワンを引いてこのテンパイ。

ドラのない3面待ちの択一選択。

このドラの絡まないテンパイから、三を切ってリーチを打つ。

7ソウのアンコウで8ソウ9ソウが取りやすいと判断したからだ。

この打牌のことのようだ。

「だから、7ソウアンコウで、8ソウ9ソウがロンできるかな?」

と思ったからですよ。

私が、誇らしげに答えるとおっさんは、

「そうか、そう言いよったなあ・・・

そうか・・・まだまだ、青いなあ」

と、チョー上から目線で、わざとらしいため息交じりに続けた。

「いいか、ようききない。

ソーズの7ソウが4枚あるっちゅうのは、

あんたしか、知らん情報じゃ。な?

逆の立場で考えてみりゃええ。

あんたが、あんた以外の他家の立場になってみい。

全部の捨て牌に、ソーズの7が出とらんちゅうことは、

誰かが使っちょるっちゅーことや。

そのそばを、わざわざ切るかね?

あんたは、自分のことしか、見えちょらん。

まあ、それが若いっちゅーことなんやろうけれど。」

そう言い、めっさ男前な表情で、

「わしなら、マンズで待つ。

最後に七ワンを引いてテンパイっちゅーのも洒落とる。

それに、多面待ちは、横に広くが基本じゃ。」

そう捲くし立てた。

「まあ、なんでもいいんじゃけどな。

麻雀は、相手がおるっちゅーことや。」

そういって、また、にっこり笑った。

てんぷらを食い終わり、店を出ると、

悪いな、と手を上げ、おっさんは、セブンスターをふかし

「いやあ、メシのあとの一服と、テンパイのときの一服は最高じゃ」

と、私にタバコを勧める。

タバコは、吸えない自分だったけれど、

なんとなく、同じ空気を味わいたくて、そのセブンスターをくわえる。

その匂いにむせる私に

「そっか、たばこはダメか?

かわいそうにのう。テンパイタバコを味わえんのじゃなあ。」

と、また、イタズラっぽく笑った。

どうみても、おっさんは、金持ちなんかではない。

そんなの一目瞭然だ。

車もちょろQぐらいなら持っているかもしれないが、

ぱっと見、本人の「ねぐら」すら、怪しい感じだ。

けれど、麻雀が好きなのだろうな、ということは、

痛いくらい伝わってくる。

麻雀が好きな人間に悪いやつは、いないはずなんだ。

そう思っていた平成のはじまりの時代のこと。

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本編とは、まったく関係ありません。

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おっさん [麻雀回顧録]

点3の雀荘の階下に、点ピンの雀荘がある。

どちらも同じ経営者だ。

その日も、上の点3で遊んでいた。

負ければ10,000円くらいすぐ溶ける。

積みは、場に1500点。

東場には、東と西が吹き、南場には南と北が吹く。

ゲーム代は、半荘200円だったかな?

私が、三三四五六七八①①①7778

七ワンを引いてこのテンパイ。

ドラのない3面待ちの択一選択。

このドラの絡まないテンパイから、三を切ってリーチを打つ。

7ソウのアンコウで8ソウ9ソウが取りやすいと判断したからだ。

けれど一発でツモッテきた牌は、裏目の九ワン。

すこしがっかりして、牌を置く。

結局、7778の待ちでの和了は叶わなかった。

終局後、その局面をぼんやり眺めていたおっさんが、

「あれは、三六九ワン待ちやろ?なんで、7778のほうにしたん?」

と、話しかけてきた。

このおっさんは、いつも、点3の雀荘にいた。

会社を3つ経営していたり、外車を何台も持っている、と

嘘くさいことばかり吹聴している。

「点3で、ならして下(ピンの雀荘)で、勝負するのだ。」

「ここでの負けは、厄払い」

そんなことばかり、言っていた。

けれど、その人懐っこい笑顔は、悪人のそれではないこともあり、

私は、そのおっさんのことは嫌いではなった。

「7778の形で、ほかの人が、8ソウ9ソウを使いにくいそう思ったからです。」

まだ、20歳の私は、そのまま自分の考えを伝えた。

おっさんは、にやりと笑って

「そうか、そうか、よっしゃ、よっしゃ、飯でもいこうか?」

と私を誘う。

「なんか、おもしろそうだな・・・」

それだけの理由で、私はおっさんのあとに続いた。

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画像はすっぴんマスターです。

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雀荘にて [麻雀回顧録]

 昔のことを、思い出す、というそのことは、

現在しあわせではないから、とは、さだまさしの曲だっただろうか?

けれど、私はそうは思わない。

過去があるからこそ、現在がある。

過去を大切にしない横着な考え方に、未来はない。

ただ執着はしない。

過去というものは、ともに人生を歩む友人のようなものなのだから。

:::::::::::::::::::::::

大学の講義のあと、4コマ目が終われば

①ゼミの仲間、②バイト先の仲間、③雀荘の仲間

④サークルの仲間、

このいずれか、と麻雀を打つ。

お呼びがかからなければ、フリーの麻雀点に出かけていた。

私のフリーのデビューは、いきなり7500枚くらいの大負けデビュー。

その教訓から、基本フリーへは、いつも負けるつもりで出かけていた。

10000円で、朝まで遊べればよい。

減らなければ、御の字。

そうすると、不思議と負けることは少なかった。

勝とうと思わずに、負けないように、そう思考をシフトさせると

不思議と冷静でいられた。

そんなふうに麻雀三昧だった私は、長い休みで帰省をしたときも

当然地元の仲間と、麻雀三昧だ。

帰省時は、とにかく、朝モーニングを取って麻雀。

帰宅してご飯食べて、寝て麻雀。

同期の桜な仲間との麻雀は、本当に今思うと

泣きたくなるくらい楽しかった。

仲間内でのセットの麻雀は、ほぼ毎晩、深夜1:00からだ。

お迎えの友人の車のエンジンの音が遠くに聞こえると

母親がわたしを起こしに来る。

「ゆうさん、Hくんがむかえにきとるよ。あがってもらうかね?」

母親は、あそびほうけている私に対して

何の憤りもなかったようだ。

長い人生のなかで、こんなふうに夢のように

自由でいることのできる時間が持てること。

そのことの価値をきっと知っていたからなのだろう、と現在は思う。

「人生が楽しい」という一番大切なこと、

このことを、私は、この遊びほうけていた時期に学んだ。

人生の時間は、かならず大きな波のように帳尻を合わせてくる。

けれど、楽しい、と心躍る時間を信じることで、

実はさほど悲観することでもなかったりする。

とにもかくにも、仲間内の麻雀は、

メンツをかえて絶え間なく開催されていたのだけれど、

それでも、「24時間自由」であれば、その時間が手持ち無沙汰となることも多い。

そうなると、フリーにでかけようか、となる。

まだ、学生だった私は、帰省時にはその雀荘にいることが多かった。

景気の影響もあってか、点3の学生向けの雀荘であるその店が、その真下で

点ピンのおっさんむけの雀荘も合わせて営業し始めた。

そんな、そうだな、今日と同じくらい暑い夏のある一日のできごと。

仲間内では、点5がほとんどだったこともあり、お金欲しい→麻雀、とはならなかった私は

高いレートも麻雀には興味がなかった。

私にとってピンは特にお金が必要なときの富くじのようなもの。

毎朝、10時になれば、どのみち5,000円モーニングサービス(*注:1)でゲットできる。

オカネの心配はない。

将来の心配もない。

時間は無限にある。

まさに、無双状態。

その夢のような時間の本当の意味に気づくこともなく

それでも、毎日を懸命に生きているつもりだった。

そんな、とある一日の出来事。

注:1→当時のパチンコ屋さんには、ボーナスのフラグのたった台が

お店のサービスで複数設置されていた。

メダル3枚が、370枚になる魔法のようなシステム。

友人たちは、このモーニングで車を買ったり、学費をはらったりしていた。

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さらば、雀ゴロ! [麻雀回顧録]

 夕方から、よろりと出かける。

こうゆう寝る前に3回ほど、という対局が一番楽しい。

東1局。

南家の私が、

二三四五六七⑤⑥56788

ドラ②

これはリーチ!

東家の小説家のような風貌の男が、

追いかけリーチ。

どちらかというと、「ままよ!」リーチ!

この小説家、ありていにゆうと昭和の麻雀。

ダマで和了可能な手役はリーチに来ない。

つもおおおおおおおおおおおお!

二三四①②②②③⑥⑧789 ツモ⑦

一発ツモで、裏も②で、8000点オール。

うわあ、きついなあ、で、もつれこむ南1局。

8ソウを切る際に逡巡。

8ソウが重なりやや強打。

この50000点以上持っている親番小説家

メンホンちゃんじゃない?

こんなの食らったなら、ふっとんじまう!

そう思っていたなら、この小説家がリーチ!

また、ままよリーチ!

やばいって!

そう思っていたなら、北家雀ゴロが果敢に追いかけリーチ!

私も聴牌取りのチー!西家とりりんも、形式聴牌取りのチー!。

ハイテイ牌が雀ゴロたんに!

コトリとそのハイテイ牌2ソウを河に置くと、「ロン!」の声。

22234999発発発北北

24000点。

雀ゴロたんは、混一色を読み北単騎でリーチを打っていた。

だれかが、止めなければいけなかったこの小説家の親番。

1000点で落とさずに、3000,6000点をかぶせてやろうと考えた

私のおもいあがりによる失策も原因のひとつ。

「なんか、悪いことしたなあ・・・」

そう思わざるを得ない男っぷりの良い被弾だった。

嫌いじゃないスタイル。

リスクを負わねば、勝利はない。

ただ、そのバランス感覚は人によって異なる。

「リスクいやん」な私は、点棒を持っている親リーチとは戦わない。

なぜなら、点棒を持っている親リーチを打てる親番は、

その選択肢の多さでは、「神」のような存在。

そうなる前に手を打たねばならないし、

そうなってしまったのであれば、やはり、

その猛威が過ぎ去ることを待つより他はないのだ。

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手積みはいやだ [麻雀回顧録]

しばらくして、Nの後輩らしき青年が、

「ちース」と部屋に入ってきた。

いかにも、な感じのいかにもな青年。

「麻雀弱いだろうな、」というオーラが、何故か滲み出ている。

Nに挨拶をしたNの後輩をSとしよう。

後輩Sは、私にもぺこりと不器用に礼をすると、

「サモンさん、もうすぐ来ますよ。」

とNに告げた。

どうやらサモンさん、というのがNの職場の先輩らしい。

それからNと後輩Sとの間で、そのサモンさんの麻雀についての談義が始まった。

「とにかく職人のようにうまい」

「振らない」

「ラスを引かない」

なんだか、よくわからない抽象的な言葉が飛び交う。

なんだか、おかしい。

その「サモンさんスゲー談義」は続く。

「この間、サモンさん国士和了したんだぜ?」

みたいな、もうどうしようもないハナシまで飛び出してきた。

私は、他人の評価など信じない。

相手が強いかどうかを、判断するのはあくまで自分だ。

私が、相手の麻雀に「揺れない強さ」を感じない限り、

それは私にとって脅威ではない。

それより、私には確認をしなければならないことがある。

「どこの雀荘で打つの?まさか、手積みじゃないよね?」

おそらくここで、手積みで打つことになるのだろうけれどできれば、雀荘がよい。

「雀荘いこうぜ?」

私は「一縷ののぞみ」を託して訊ねた。

正直、手積みは面倒くさいし、牌をおぼえたりおぼえられたりのリスクがともなう。

雀荘にいこうぜ?なあ?

と続ける私にNは苦笑いを交えて答える。

「このへんに、雀荘なんてしゃれたものはない。

ここから一番ちかいところで、車で2時間はかかるぞ?」

そうか、そういう理由か。

と、いうことは、これからずうううっと手積みで麻雀を打つことになるわけか?

まいった。もう、めんどくさくて帰りたくなった。

けれど、サモンさんが来れば、いやおうなしに始まってしまう。

麻雀のハナシに熱が入るNと後輩Sを尻目に、うんざりを隠せない私。

ドアがひらく。

サモンさんの登場だ。

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俺より強いやつに会いに行く [麻雀回顧録]

 20年前のハナシだ。

その2両しかない電車は、新緑の中を緩やかに進む。

 車両には、私一人。

タスキ掛けをしたカバンには、

3泊分の着替えと、おやつ。

ポケットには、千円札が40と2枚。

(この頃、私は1000円札を10枚づつズクにするくせがついていた。)

私は、長い夏休みを利用して、高校時代の友人を訊ねる旅に出ていた。

その友人Nの職場の先輩が、麻雀がめちゃ強い、とのハナシを聞きつけたからである。

職場の人間で囲む麻雀なのだから、基本同じメンツでの対局となる。

前日、電話できいたハナシによると

かもられているのは、友人Nではなく友人の後輩だ、という。

毎回、毎回、安いレートだけれど、負け続けているのだそうだ。

そのハナシを聞くにつけ、私は違うな、と思った。

きっと、Nも結構やられているハズだ。

めいっぱい、その職場の先輩と戦った結果、どうにもならない敗北が続いたのだろう。

おそらく格付けがついていて、心を折られているのではないか?と思った。

そうでなければ、その先輩のことを強い、などど私に伝えないだろう。

Nは、心の底から、その職場の先輩には勝てない、と、そう思い込んでいるのだ。

長い付き合いだから、私にはわかる。

私は、なんとなく、麻雀で「友人が他の人間にカモられている」

ということが、気に入らなかった。

もちろん、麻雀は自己責任なのだから、Nの勝ち負けはNの責任である。

けれど、もしかして、その職場の先輩とやらが、

何かやっているんじゃないか?と思ったのだ。

麻雀で勝つ方法は、本当に簡単だ。

「自分より弱い人間と打つ」

これに尽きる。

返せば、「自分より強いと思う人間」とは打たない、ことだ。

当時、私は「麻雀の強さ」に飢えていた。

「麻雀の強さ」が何なのか、知りたい、とも思っていた。

強い、ということは、ツキを持続させて、お金を多く持って帰ること。

それが、その当時の私の「麻雀の強さ」の解だった。

不ヅキを感じたときに、卓を割ることができる人間。

そういう人間が一番麻雀が強いのだと、そう思っていた。

「ツキを引き寄せて押し切る」

それが私のフォームだった。

電車が、よろよろとホームに収まり、改札を抜けると、友人Nが迎えに来てくれていた。

格闘技をたしなんでいるその体躯は、頼もしい。

「どこの雀荘に行くのだろう?」

そう思う私をよそに、Nはぐんぐん歩いてゆく。

林道を抜けて、橋を渡り、どうやらNの家らしき建物に着く。

ドアを開けると、こたつ机に牌が並べてあった。

「そうか、手積みなのか?これは、やばいな・・」

戦慄が走る。

私は、不器用で、手積みの麻雀でのいたずらは全然できない。

「こまった。」

私は内心、めっさ困っていた。

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食い仕掛けを咎める [麻雀回顧録]

きれいに整列した牌山は、美しかった。

深い草の色をしたその牌の背中にしばし見とれる。

卓の中央には、プラスチックのドームが取り付けてあって

そのなかにサイコロがふたつ入っている。

手積みの麻雀だと、よくひとつ行方不明になったりするあのサイコロ。

なるほど、このプラスチックのドームをはずして使うのか。

なくならないようにする為の、店側の配慮だろうな、と感心していると、

「よし、親を決めるぞ。」

そう言って、Sが卓の中央にあるサイコロのそばのボタンを押した。

サイコロが、もたもたと回転する。

「すげえな、全自動!」

これが、科学の力なのか、どういう仕組みになっているのか、までは

もちろんわからなかったのだけれど、私は感動していた。

これは・・すごい・・

サイの目が2回出て、親番がSに。

「よし、やるぞ!完サキで、ツミ1500な?」

私は、Sが何を言っているのかよくわからなかったけれど、

なんだか、妙にかっこよく感じて、そのままうなづきつつも、訊ねる。。

「うん、カンサキツミセンゴヒャクって何?」

Sは、やれやれだぜ、とは言わなかったけれど、もしこの時代にJOJOが既に

連載されていたのであれば、間違いなく「やれやれだぜ」とこぼしていたはずだ。

「完全先付け、っちゅーのは、役が必要、っちゅーことやがな。

クイタンとか、ツモピンとか、あー、

クイタンちゅーのは、鳴いたタンヤオ。

ツモピンちゅーのは、ツモッたピンフのことや。

こういうのがない。」

Sは、その風貌とはウラハラに、とても説明が丁寧だった。

牌を拾って並べてその説明をする。

おそらく、教師にでもなれば、それが天職となっていたかも知れない。

一通り、説明をしたあと、私と他2名の私の友人の顔を眺めて

Sは、おおきくため息をついて、

「しょーがねえ、とにかくはじめるか?」

とつぶやいた。

すでに、雀荘に突入して、20分はゆうに過ぎていた、と思う。

けれど、そんなことはどうでもよかった。

この煙が舞い、牌の音と喧騒に包まれたこの空間に自分が存在していること、

そのことに、とても価値がある、と思えた。

なんだか、自分がいっぱしの麻雀打ちになれたような、そんな錯覚。

時代は、まだ、バブル経済の真っただ中。

世界はきらきらと輝いていて、

未来には、希望しか存在していない、そんな時代のハナシだ。

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リーチ棒のポジション [麻雀回顧録]

ドアを開けるとタバコのけむりが、目にぶち刺さった。

けむりの奥から、牌をかき混ぜる音がする。

「うわあ、いよいよホンモノだ。すげえ。」

そこは、私の思い描いていた雀荘の姿そのままだった。

カップ酒をぐびり、するめをかじりながら、牌を乱暴にたたきつけているおっさん。

ニゴロー、とか、声がとんでいる。

店内は、まるで物置のようにいろいろなものが、無造作に置かれていた。

古いジュークボックス。

斜めに積まれたインベーダーのテーブルゲーム。

平凡パンチだか、雑誌の山。

物置に、雀卓が数台置いてある、そんな感じだ。

散らかっていた。

けれど、汚れてはいない。

不潔な感じは全然しなかった。

「おう、にいちゃん。セットか?」

エプロンをつけたおいさんが、Sに声をかける。

どうやら、この人がマスター、というやつだ。

Sがうなづくと、

勉強をせんと、わしみたいになるぞ、と笑いながら

「全自動か?」

と続けた。

店内には、全自動卓が3台。

半自動卓が2台。

そのどちらも1台づつ空いていた。

Sは、

「全自動で、お願いします。」

と答え、私に(私たちに)小声で

「おまえら、牌、積みきらんやろうが・・

そこで、もたもたしよったら、余計時間がかかるんじゃ。

全自動でええ。」

とまるで独り言のように呟くと

「お願いします。」とマスターらしき人に返した。

Sは、悪そうな感じではいるのだけれど、年上の人間には

しっかりと敬語を使う、わきまえた人間だった。

我々は、店の左奥の卓に向かった。

途中、おいさんたちの打っている卓の横を図らずも通過する。

おいさんたちの風貌は、競輪場通いや、競艇場狂いのそれに近かった。

「いやあ、本当、こんな感じなんやあ。」

私は、ものすごく興奮していた。

みな、とてもかっこよく見えた。

牌捌きも鮮やかで、まるで豆腐を切るように牌山を割る。

ぱしーん!とイカス快音が響く。

ゴミ屑のように舞っているものは、もしかして日本銀行券だろうか?

昔、映画で観たプールバー。

ビリヤードのポケットに無造作にささった100ドル紙幣。

ウイスキーをかぷりとやって、勝てば全てを手に入れる。

そんな、よくないけど、よくないからこそ、わくわくするそんな雰囲気。

席に着く際、カバンがサイドテーブルに当たり、

何か固いもののぶつかる音がした。

予備校で使用する参考書が、ぶつかったのだろう。

こんなことをやっている場合ではない。

現在、やらなければならないことは勉強。

けれど、勉強よりも麻雀がやりたい。

社長室の椅子のような大仰なそれに、我々は体を預ける。

そして、点棒を合わせる。

Sは、1000点棒を一本つまみ、耳に挟んだ。

「いいか?いつテンパってもいいように、1000点棒は耳に挟むんじゃ。

こうしとけば、いつでも、リーチをかけることができる。

基本やからな、よう覚えとけや。」

と続けて、にこりと笑った。

なるほど、われわれは大きく頷き、千点棒を耳に挟む。

「あと、ここ、1時間250円やからな。

全自動は高いんや。2回、いや、3回は打てる算段や。」

そういうと、Sは、全自動卓の開閉をつかさどる赤いボタンを押し込む。

がたん、と音がして、牌が穴に吸い込まれていき、

まるで、モビルスーツのようにカタバルトから牌が現出してきた。

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つかさ会は、今週土曜日正午開催。

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