ロクさんのチャンタ [麻雀小説]

そういえば、いつからだろうか?

私がチャンタという役に興味覚えたのは。

そうだ、あの老紳士の麻雀だ。

記憶が鮮明に蘇る。

ロクさんのはじけるような笑顔。
saki.jpg


その昔。運悪く私は麻雀がお金になることを知った。

麻雀を、他人から点棒をむしり取るゲームだと勘違いしていた10数年まえの私。

その構想に、チャンタと三色は存在していなかった。

そんな自己満足なロマンの為に、1%でも期待値を下げることはできない。

ナンセンスだ、そう思っていた。勝つことが全て。結果が全てだと。

基本、テンパイ即リー。

ツモれるカンチャンをツモ和了して裏ドラを乗せチップを取る。

全ツッパに見せかけて絶対に振り込まない。

オーラス、ラス確定でもリーチを打ち、チップを拾う。

何か文句があるのか?

嫌なら打たなければよい。

仕掛けは、「タンヤオ」と「役牌」

仕掛けている間に、ドラや赤を吸収すれば、打点も稼げる。

自分が和了すれば、誰かの積み上げた期待値を、なぎ払うことができる。

仕掛けても、受けの牌を残し絶対に振り込まない。

後付け、片和了。勝つ為に出来ることは、全て躊躇なく遂行。

そして、一度でも、手順を間違えたら、ラス半コール。

誰かがツキ出してのってきたなら、これまたラス半コール。

誰が強かろうが興味はない、強い奴とは、打たないだけだ。

対局者にどれだけ嫌われようが、それは勲章だと思っていた。

麻雀なんて、ゲスなゲーム、金にならなければ誰が打つものか!

ひろりんに出会うまでは、本当にそう思い、麻雀を憎んでいた。

そんな、暗黒魔王のようなビッチな私が、少しづつ本当の麻雀の尊さと価値を知り

手役というもの、牌の色、形というものを、少しづつ意識するようになる。

チャンタの意味と役目を知る。

その過程で、やはり、私がチャンタに心を奪われたのは、やはり初老の紳士、ロクさんの麻雀だ。

_m_wing4141.png


いつものように、ひろりんに麻雀を教わるため、教室へ。

メンツを整え、さあ対局開始、という刹那、ドアが開く。

「いよう!ひろちゃん」

室内の空気が変わる。

サンタのようなヒゲ。

優しい暖かい笑顔。

そして、思慮深さが伺える柔らかい瞳。

名前は、ロクさん。

会社の経営者、だという。

ひろりんとは、昔、同じ道場の仲間だったとのこと。

かなりの打ち手らしい。

「ひろちゃんと打てるって聞いて、来たよ?」

ロクさんは、そう元気良く、言い放ち、

ひろりんのそばへ張り付き、ニコニコと笑う。

「わしゃ、うちとうなーい」

少し照れながら、ひろりんは続ける。

「いい機会じゃ。あなたたち、相手をしてもらいなさい。

ロクさん、わしゃ、いまこの子たちに、麻雀を教えよる。

いっしょに打ってやってくれんかね?」

ロクさんは、目が線になるほど、ニッコリと笑い

「ひろちゃんの弟子かい。ひろちゃんは、強かろ。神様じゃ。」

と、こぼしながら、そろそろと、卓についた。

私と、ひろりんの次男と、Dいん。

賽が振られ、対局開始。

親番である、ロクさんの第一打は、⑤ピンだった。



くいしんぼうのながすたる→http://wing6877.blog.so-net.ne.jp/

ランキングバー。本当のこと言うと・・・くりっくお願いします↓


麻雀 ブログランキングへ


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

つまてつ

!!!! キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!!!

これこれ!コレが読みたかった!


by つまてつ (2012-07-12 07:31) 

ゆうゆう

きょうのあめとーくはじょじょうちげいにん
by ゆうゆう (2012-07-12 07:37) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。