食い仕掛けを咎める [麻雀回顧録]

きれいに整列した牌山は、美しかった。

深い草の色をしたその牌の背中にしばし見とれる。

卓の中央には、プラスチックのドームが取り付けてあって

そのなかにサイコロがふたつ入っている。

手積みの麻雀だと、よくひとつ行方不明になったりするあのサイコロ。

なるほど、このプラスチックのドームをはずして使うのか。

なくならないようにする為の、店側の配慮だろうな、と感心していると、

「よし、親を決めるぞ。」

そう言って、Sが卓の中央にあるサイコロのそばのボタンを押した。

サイコロが、もたもたと回転する。

「すげえな、全自動!」

これが、科学の力なのか、どういう仕組みになっているのか、までは

もちろんわからなかったのだけれど、私は感動していた。

これは・・すごい・・

サイの目が2回出て、親番がSに。

「よし、やるぞ!完サキで、ツミ1500な?」

私は、Sが何を言っているのかよくわからなかったけれど、

なんだか、妙にかっこよく感じて、そのままうなづきつつも、訊ねる。。

「うん、カンサキツミセンゴヒャクって何?」

Sは、やれやれだぜ、とは言わなかったけれど、もしこの時代にJOJOが既に

連載されていたのであれば、間違いなく「やれやれだぜ」とこぼしていたはずだ。

「完全先付け、っちゅーのは、役が必要、っちゅーことやがな。

クイタンとか、ツモピンとか、あー、

クイタンちゅーのは、鳴いたタンヤオ。

ツモピンちゅーのは、ツモッたピンフのことや。

こういうのがない。」

Sは、その風貌とはウラハラに、とても説明が丁寧だった。

牌を拾って並べてその説明をする。

おそらく、教師にでもなれば、それが天職となっていたかも知れない。

一通り、説明をしたあと、私と他2名の私の友人の顔を眺めて

Sは、おおきくため息をついて、

「しょーがねえ、とにかくはじめるか?」

とつぶやいた。

すでに、雀荘に突入して、20分はゆうに過ぎていた、と思う。

けれど、そんなことはどうでもよかった。

この煙が舞い、牌の音と喧騒に包まれたこの空間に自分が存在していること、

そのことに、とても価値がある、と思えた。

なんだか、自分がいっぱしの麻雀打ちになれたような、そんな錯覚。

時代は、まだ、バブル経済の真っただ中。

世界はきらきらと輝いていて、

未来には、希望しか存在していない、そんな時代のハナシだ。

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つかさ会は、今週土曜日正午開催。

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