リーチ棒のポジション [麻雀回顧録]

ドアを開けるとタバコのけむりが、目にぶち刺さった。

けむりの奥から、牌をかき混ぜる音がする。

「うわあ、いよいよホンモノだ。すげえ。」

そこは、私の思い描いていた雀荘の姿そのままだった。

カップ酒をぐびり、するめをかじりながら、牌を乱暴にたたきつけているおっさん。

ニゴロー、とか、声がとんでいる。

店内は、まるで物置のようにいろいろなものが、無造作に置かれていた。

古いジュークボックス。

斜めに積まれたインベーダーのテーブルゲーム。

平凡パンチだか、雑誌の山。

物置に、雀卓が数台置いてある、そんな感じだ。

散らかっていた。

けれど、汚れてはいない。

不潔な感じは全然しなかった。

「おう、にいちゃん。セットか?」

エプロンをつけたおいさんが、Sに声をかける。

どうやら、この人がマスター、というやつだ。

Sがうなづくと、

勉強をせんと、わしみたいになるぞ、と笑いながら

「全自動か?」

と続けた。

店内には、全自動卓が3台。

半自動卓が2台。

そのどちらも1台づつ空いていた。

Sは、

「全自動で、お願いします。」

と答え、私に(私たちに)小声で

「おまえら、牌、積みきらんやろうが・・

そこで、もたもたしよったら、余計時間がかかるんじゃ。

全自動でええ。」

とまるで独り言のように呟くと

「お願いします。」とマスターらしき人に返した。

Sは、悪そうな感じではいるのだけれど、年上の人間には

しっかりと敬語を使う、わきまえた人間だった。

我々は、店の左奥の卓に向かった。

途中、おいさんたちの打っている卓の横を図らずも通過する。

おいさんたちの風貌は、競輪場通いや、競艇場狂いのそれに近かった。

「いやあ、本当、こんな感じなんやあ。」

私は、ものすごく興奮していた。

みな、とてもかっこよく見えた。

牌捌きも鮮やかで、まるで豆腐を切るように牌山を割る。

ぱしーん!とイカス快音が響く。

ゴミ屑のように舞っているものは、もしかして日本銀行券だろうか?

昔、映画で観たプールバー。

ビリヤードのポケットに無造作にささった100ドル紙幣。

ウイスキーをかぷりとやって、勝てば全てを手に入れる。

そんな、よくないけど、よくないからこそ、わくわくするそんな雰囲気。

席に着く際、カバンがサイドテーブルに当たり、

何か固いもののぶつかる音がした。

予備校で使用する参考書が、ぶつかったのだろう。

こんなことをやっている場合ではない。

現在、やらなければならないことは勉強。

けれど、勉強よりも麻雀がやりたい。

社長室の椅子のような大仰なそれに、我々は体を預ける。

そして、点棒を合わせる。

Sは、1000点棒を一本つまみ、耳に挟んだ。

「いいか?いつテンパってもいいように、1000点棒は耳に挟むんじゃ。

こうしとけば、いつでも、リーチをかけることができる。

基本やからな、よう覚えとけや。」

と続けて、にこりと笑った。

なるほど、われわれは大きく頷き、千点棒を耳に挟む。

「あと、ここ、1時間250円やからな。

全自動は高いんや。2回、いや、3回は打てる算段や。」

そういうと、Sは、全自動卓の開閉をつかさどる赤いボタンを押し込む。

がたん、と音がして、牌が穴に吸い込まれていき、

まるで、モビルスーツのようにカタバルトから牌が現出してきた。

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つかさ会は、今週土曜日正午開催。

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