とにかく、倍のレートでの7回戦がはじまる。
半荘6回も打てば、私もこういう魔界麻雀に慣れてくる。
要するに、シャミセンザウルス同士を戦わせて、私は参戦しないことである。
みな、戦車に乗っているようなもので、オリル、という発想がない。
勝手にガンガン振りあってくれる。
傍観していてば、ラスは引かない。
嵐が過ぎ去るまで、とにかく、おとなしくしていることだ。
その半荘のオーラス。
トップと12000点差の2着。
3着がとの差は2000点。
2着でいいです。ぜいたくはいいません。
それで、この5巡目。ドラ1ソウ
123345677899⑤⑥
7ソウ切りでピンフテンパイ。
けれど、逆転清一色チャンス。
しかも、めちゃめちゃよいイーシャンテン。
いつもなら、迷わず、⑤⑥を離す。
というか、序盤に切り飛ばしている。
けれど、この⑤⑥が優秀なターツに思えて仕方がないのだ。
というか、もし、④⑦でのロン和了を逃してしまって、3着に落ちたら、払いになる。
それだけは避けたい。
ここを2着でしのげば、このあとの残るもう一半荘3着でも払いにはならない。
いいんだ、それで。トップはいらない。
払わずにすめばそれでいいんだ。
いつもの麻雀なんて打てない。
負けないことが目的だ。
この両面ははずせない。
レートに麻雀をゆがめられる。
自分に言い聞かせながら、7を切る。
次巡8ツモ。
寒気がするも、④をダマでロン和了。
「なんや、ダマか、せこいのう。」
そう罵られても、全く気にしない。
あと、一局だ。
あと、一局で終わりなんだ。
勝つ、とか、そういうことはもはや1ミリも考えていなかった。
私は、Aさんの言葉に、耳を疑った。
「じゃあ、最後は、いつものレートでいこうか?」
吐き気がする。
そして、前局、トップを取りいかなかったことを、心の底から後悔した。
勝負事は、勝つべきところで、勝っておかないと、ダメだ。
というよりも、戦う気持ちがなければだめだ。
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