その寂びれたビルの入口にSくんはただずんでいた。

インテリチックなメガネの向こうに幼さの残る笑顔が切ない。

これから、地獄をみてもらうこととなる。

そう、博打の地獄を。

薄暗い階段を登り、そのビルの2階。

汚いカーテンのかかったドアを押し開けると喧騒がこぼれる。

平日の深夜だというのに、ほぼ満卓。

Aが事前の電話連絡で押さえてくれていた台に腰掛け、

レートを決める。

「200円くらいで、いいか?」

Aがぶっきらぼうに口にすると、Sくんは

「いや、最初なんで100円でお願いします。」

と、はっきりとした口調で返した。

めんどくさいな、Sくんの心を折るまでに時間が倍かかる。

Aも私もそう思ったが、こちらから、レートを釣り上げるわけにもいかない。

少し逡巡したが、

「うん、いいよ、100円で」

私は、そう言いながら、場決めの牌を引く。

ちなみに、私は100円の三麻すら恐ろしくて打たない。

三麻には魔物が憑依している。

いつも、不条理なことばかり起こる。

自分が不ヅキの時の救いようのなさは、筆舌にさえ尽くしがたい。

まさに地獄である。その地獄の業火に焼かれながらカネをむしられるツラさ。

過去、三麻で不ヅキの状態から持ち直したことなど、ない。

東を引き、起家スタート。

三麻は、流れをもっていかれると、どんな手練でも素人に勝てなくなる。

私は、慎重に牌を組む。

だが、

東2局。北を二枚抜いて

一一一③④⑤⑥⑥⑥⑦東東東

のリーチ。

これが、Sくんの場に3枚切れのカン8ソウに負ける。

「やばい・・・」

最初の半荘で、トップを取られると、そのまま押し切られる可能性もある。

絶好のリーチを捌かれた私をアガリ役とするよりも、

まず、Sくんをアガらせないようにすることのほうが大切だ。

だが、最初からぶっちぎりで勝つつもりでいたので、相手に押される展開への対策は皆無だった。

非常に残念だが、最初の半荘はSくんのトップに終わる。

私の状態は最悪。

Aが、差し込もうにも、私がテンパってなければどうにもならない。

たのむ、A。

とりあえず、Aが和了してくれ。

そう心で、念じる。

油断していたわけではない。

だが、この展開すら想定していなくて、コンビ打ちだなんて、チャンチャラおかしい。

そのまま、2回目の半荘もSくんがトップ。

もう、20000くらい、負けている。

やばい。どうする?

Aが、この展開のやばさに気づかないはずはない。

私が間に合っていないことに、気づかないはずはない。

必ず、和了にむかってくれるはずだ。

私は、少しイライラした面持ちで、3回目の半荘のスタートの賽を振った。








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