大学受かったので、思う存分麻雀が打てる!
いつもの雀荘で、いつもの仲間と麻雀を打ちながらも、
自分は「これからの関東での麻雀」にワクワクしていた。
きっと、毎日麻雀になる。どうしよう・・
睡眠時間とか、なくなっちゃわないかな・・
大学生ともなれば、はきっと全員麻雀が打てるだろうから、メンツには困らないはずだ。
ただ、九州とはいろいろルールも異なる。
積み棒は、場に1500ではなくて、300。
喰いタンあり、つもピンあり、らしいから、注意が必要。
「タンヤオは、食い下がらない」、仕掛けても1300点が1000点になるだけで、お得。
すげえな、さすが、東京だわ。
毎日毎日、麻雀を打つことになるのだから、ゲーム代がたいへんだよなあ・・
いよいよになったなら、部屋に雀卓を置く、っていうのもありかもしれない。
だが、時代はそうではなかった。
サザンオールスターズが、復活。
カラオケに配信されていることもあり、みな、飲み会、飲み会、飲み会。
コンパ、新歓コンパ、サークル説明会、に、みな夢中。
最初のオリエンテーションで、声をかけまくったけれど、
麻雀を打ってくれるひとなど、いなかった。
そんなこんなで、入学間もないの金曜日の午後、
駅の脇にある板張りのパチンコ店に、トイレを借りるため、足を踏み入れる。
視界に、地元では怖くて打つことができなかったパチスロ「アラジン」が映る。
お金ならたんまりある。
せっかく大学生になったのに、麻雀が打てなくてイライラしていた自分は、魔が差した。
ちょっと、触ってみようかな。
20万円の軍資金。
これで麻雀を打ち、卒業までの4年間を戦い抜くつもりの「始まりのお金」だ。
すぐに単チェリーがでて、レギュラー。
すんごいいきおいでおかねがなくなってゆく。
所持金は、17万円。
さんまんもなくなってしまった。
そうか。これは。
麻雀を打て!という神様の采配。
ようし、ならば、「麻雀でとりかえしてやれ!」と電話帳で雀荘をさがす。
おひとりでも、あんしん。
風速1.0。
なんだろ?風速って。
スポーツ麻雀。
よくわからないけど、安全そうだ。なんといっても、まだ15万円もある。
よし、ここで、5万ほど、勝ってやるぜ!
2つ隣の駅。
場末ムードむんむんの路地を抜け、その店に。
ビルの脇の錆びた階段を登る。
可箱の煙、活気のある怒声。
へんなソファーに導かれて、ルール説明を受けるも
はっきりいって何一つ理解はデキテいなかった。
舐められたくなかったので、
「コクシはアンカンがあがりですか?」
「大三元はパオですか?」
と、聞きかじった質問をぶつけてみた。
なんでもいいから、早く打ちたかった。
卓につくまえに、椅子の高さを合わせる。
ぐるぐる回していたら、めちゃ低くなってしまった。
たばこのにおい。
牌の音。
抑えきれないわくわくが、身を包む。
「さんまん勝ったなら帰ろう」
そう思いながら、席に着く。