遠い昔、「近代麻雀」は、われわれのバイブルだった。


立ち読みはしなかった。


お金を出して買い、いつも車の後部座席に置いていた。


はみ出しの何切る?符計算。


「近代麻雀」は、教科書のようなものだ。


其の紙面。飯田正人のコラム。


「愚形リーチでも、待ちを読めないひとには、


国士無双13面待ちより、多面待ちとなる。」


というような文言があった。


これを読んで、ああ、危険でもない牌でおろされることだけは、


ほんとうに、ほんとうに、いやだなあ、と思った。


麻雀は、「待ちを読む」ゲームではない。


「局面」を読むゲームだ。


相手の思考、点棒状況。手組。


「局面を読む」そのことの枝葉が「待ちを読む」ことだ、と思う。


自分は、待ちは読まない、というか、読めない。


ただ、相手の手牌構成だけは、イメージしている。


手出しツモ切りをすべて見なくても、このイメージだけで、何とかなる。


いや、イメージだけで捉えたほうが、ノイズがなく、ブレがない。


対面の親番の状況推察


東3局の親番で、点棒状況は平たく、ドラは9Pとしよう。


字牌から切り出していて、数牌が端からこぼれてくる


典型的な、面前リーチ手組。


親番は、スピードと打点が欲しい曲面なので、打点に偏重した手組とはしないだろう。


そう考えるとストレートに組んでくる。


ソーズの外側が落ちて、真ん中が落ちる。ソーズ2メンツ


マンズの外側が落ちる。マンズ1メンツ。


あとひとつは、おそらくピンズの上だ。


4pから上が、捨て牌からすっぽり抜けている。


相手の捨て牌と自分の手牌を重ねる。


自分の手牌を見ると、7Pが暗刻になっている。


ということは、相手は、7Pを使用した手牌構成ができない、ということだ。


ペン7p以外はすべて「押しやすい牌」となる。


もちろん、読みが外れることもある。


けれど、毎局参加で、局面を見つめ続けていれば、考えなくても


状況がイメージできて、通りそうな牌が浮かんでくる。


「捨て牌」は手牌の欠片。


その織りなす捨て牌の景色から、局面を観ることも、麻雀の醍醐味のひとつだ。


自分の手牌も捨て牌も、また、相手の捨て牌も、


繋がって一枚の風景画のようにみえてくる。


全体の捨て牌が、欲しがっている色と数を見つめることができれば、


攻守に長けた構成を組み立てることができる。


例えば、親リーチにピンズの上、すなわち7Pが危ない、と思えば


焦らず、ピンズ以外の色で、なおかつ、手牌を高くできる打牌選択を重ねればよい。


万が一、親リーチに7pが埋まっているケーズもあるけれど、


そうであれば他のエリアの色が必ず欠ける。


これまで、おそらく2万回ほど半荘をこなしてきて、


毎局、打牌推察をして、答え合わせをしてきた。


そこで培った感覚は、決して自分を裏切ることはない。