テンパイ。


待ちは六九ワンだ。


牌山に手をのばし、真っ直ぐ手牌の横へ。


ツモ!


発声をして、裏ドラをめくり、点棒申告。


点棒の授受が終わり、次の局へ。


これらの動作に時間をかけない。


我々にはそういう文化があった。


おしゃべりをしていても


半荘一回20分くらいで終わっていた。


学生時代。


セットで卓を借りているので


時間に対してお金がかかる。


とにかく、少しでもたくさん打ちたい。


逡巡はおろか、長考なんて問題外。


自分自身の「麻雀の準備」の努力が足りないから、


打牌選択に時間がかかる。


自分が打牌選択で、失敗や損をしたくないから、


仲間の時間を奪ってでも、考えたい。


これは、果てしなく身勝手な行為で、


めちゃめちゃカッコ悪いとされていた。


仕掛けは、ルートを整えて。


符の計算ができないなら、和了しない。


メンチンはわからないから、鳴いちゃおう。


仲間に迷惑をかける行為こそが、


一番くそダサいとされていた。

そんなスピードに慣れていた自分。

メンチンは苦手やで。

暗槓はよくわからんから、カンしないやで。


長い休みが訪れると、北九州へ帰省する

地元の仲間とのセット麻雀も速い。

けれど、夜中にしかセットはたたない。

日中はみな忙しいのだ。 

なので、自然にフリーに足が向かう。

大きな市場や、商店街のわき、

新しくできた点5のフリーへゆく。

赤③ピンをカンしたなら、点棒がもらえる

なんて特殊ルールがある。


対面に、市場でよく見かける

肉屋のおやじ。

いつも不機嫌そうだ。

234m3444567p678s

リーチをかけ、一発で赤3pをツモる。

裏ドラ表示牌に3p。

「4000、8000の5枚。」

そういい放ち手牌を晒して一呼吸。

手牌を流すと、

対面の肉屋のおやじが、真っ赤な顔をしている。

「よう、みえんかったわ!

ホントに倍満か?あーん?」

それに、あわせて、同卓者も同調する。

「少し早すぎますよね。」

マジですか?2358p待ち、かんたんやん?


揉めていたので、立ち見をしていた

店員が裁定を。

「見てましたが、確かに倍満でした。

でも、アガリの形はちゃんとみんなに

確認をするようにしてください。」

しっかり叱られた。

次回から気を付けるということで、許された。

あぶねっぺー。

よくよく考えてみると、フリーは

時間単位ではなく、半荘単位のゲーム代払い。

そう考えると、スピードは要らないのかなあ?

でも、やはり、遅いことは、ニガテでやんす。

準備不足を晒すのではなく、

準備の力を競おうぜ!