地下室での対局がはじまる。


地下室、というだけでアングラ感が高まる。


私がツモると、すでに下家もツモっている。


不思議な光景だ。


ポン!


仕掛けが入るとツモ順が逆回転する。


手の内から、牌がでてくる。


ひどい場合は、  


「どれをツモってきたか、わからん。これでいいか?」


「ばかか、わからんくならんようにツモってきた牌は


なかにいれんで、横につけとけ!」


先ヅモあり、の店。


なるほど。


まあ、いいか、それがルールなら。


私は音速で理解した。


先ヅモもさることながら、打牌の音もすざましい。


ドカーン!ボーン!ボカーン!


なるほど、強打OKね。よし、おれもたたきつけるぞ!


私は、音速で理解をした。


パーン!


高い音が響きわたる。


下家のおいさんが、ツモ和了したのだ。


もちろん発声はない。


でも、ツモったことは周囲にもわかるから


問題は全くないのだろう。


上家のおっさんが怒ってる。


「その③ピン、ワシが暗刻じゃ!


そんなもんツモられたらたまらんわい!」


点棒がぶん投げられる。


そんななか、Tも他のおっさんと違わす 


強打を重ねている。


Tが牌を卓にたたきつけ、


ドカーン!  


河に。

 

そのたたきつけた牌を横に曲げてる。


察するに「リーチ!」ということだろう。


発声はないけど。


マナーが悪いわけではない。


現在のわれわれの麻雀環境が


マナーがよずぎるのだよ、きっと。

 

ちゅどーん。かっ!


Tがめちゃラシャをすべらせ、牌をたたきつける。


Tが一発ツモ?やるなあ。


と、思ったのに様子がおかしい。


Tはその叩きつけた牌を、河にきりだす。


いつのことだったか、市場の八百屋の親父さんたちと


卓を囲んだときに、


「牌をたたきつけるのはよ、折檻よ。


牌に気合いをいれちょるんよ。」


と、言っていたことを思い出した。