東2局の悪夢 [麻雀小説サークル]
このお話はフィクションです。
ほんとうのきもちはないしょあるよ。にんにん。
親リーチにゼンツ。
運良く赤5ソウをツモることができただけ。
単なる前にしか進めない戦車みたいな麻雀だ。
わたしはこの地点でもう、この青年を舐めきっていた。
三四五(赤)③③③⑤4445678
ドラは南。
北家になったわたしは⑤を切ってリーチを打つ。
待ちの多さでの⑤切りだ。
その2巡あと、青年が⑧を横に曲げて
追いかけの親リーチ。
わたしのツモ牌は⑤。
真っ赤に染まった⑤。
あ、でも、③4枚見えているから
これは大丈夫だよな。
瞬間で4枚の③ピンを数え切るとロン。
親番である青年に一発で放銃。
一二三②②②④⑥678南南
リーチ一発ドラ3
ウラドラ・・・
ウラドラの表示牌には
悪夢のようなまんまるな①ピンが。
リーチ一発ドラ3ウラ3.
飛びと、チップ5枚。
開局わずか10分で、わたしはふっとんでしまった。
青年は盆づらがいい。
勝っていても、余計なことは言わず
飄々としている。
なぜだ。
なんてついていないんだ。
嫌ちょっと待てよ。
落ち着け。
この青年は上手ではない。
たまたま運が悪かっただけだ。
そのたまたま運が悪い一回が
最初に巡ってきただけだ。
今日は、いつもより長く打てばいいだけだ。
そう思って挑んだ次の半荘も、
東3局で、青年のリーチに振込み、飛んでしまう。
2ソウと8ソウが河に飛んでいる。
そこに7ソウ切りのリーチだった。
一二三②③④⑦⑧⑨4446
スジの3枚目のカン5そうで振り込んでしまい
ウラドラの表示牌に4枚目の4ソウがいて
18000の飛びとチップ4枚。
そのあとのことは覚えていない。
もう、ぼろぼろだった。
一度も連帯することなく
気持ちを正しく麻雀に向ける余裕のある
持ち金も尽きて、
わたしは、ラス半コールをいれた。
18000を何回振り込んだのだろう。
わたしの渾身の先制リーチは、
ことごとく青年の追いかけリーチの餌食になる。
身を切られるように、大切なお金が奪われる。
なぜだ。
わたしは、遊びじゃない麻雀を打っているのに
我慢してるのに、どうして負けなきゃならないんだ。
金策の術もない。
残りのチカラをふりしぼって青年に声をかける。
「また、打とうな」
弾けるような青年の笑顔の向こうに
丁寧にお辞儀をする青年の彼女の姿。
「はい。また、明日も来るのでお願いします。」
冗談じゃない。
二度と同卓したくない。
喰われるだけだ。
わたしは絶望のなか、帰路につき
溶けるように眠りについた。
夢なら覚めてくれ。